【保存版】AutoCADの「ブロック」完全攻略!データ軽量化・使い回し・一括修正で残業をゼロにする技術
2025年12月17日
1. その「コピペ」、実は残業の原因です
いーち、にー、さーん……あれ、どこまで選択したっけ? ああっ! 間違えて選択解除しちゃった! もう、最初からやり直しだぁ……。
……デジ美さん、オフィスの真ん中で叫ばないでくれるかな。何事?
あ、社長! すみません。今、「高力ボルト」を配置してるんですけど、この図面に1000本くらいコピーしなきゃいけないんです。でも、線分と円がバラバラだから、選択するだけで一苦労で……。
……まさか、君。ボルトを「線と円の集まり」のまま、1000回もコピー&ペーストしようとしてるの?
はい。地道にコツコツと。
それ、一番やっちゃいけない「努力」だね。はっきり言うけど、時間の無駄だ。
むっ……無駄ってひどいです! 真面目にやってるのに。
方向性が間違ってるんだよ。いいかい? 現場にボルトを搬入するとき、鉄の棒と六角形の鉄板をバラバラに持ってきて、現場で溶接して組み立てたりする?
しないです。工場で製品になったボルトを箱詰めして持ってきます。
図面も同じだ。バラバラの線分を現場(図面)で管理するのは非効率極まりない。「ブロック」機能を使って、図形を「製品化」するんだ。今日は、定時で帰るための「ブロック活用術」を叩き込んであげるから、よく聞きなさい。
2. 修正地獄からの脱出!「ブロック定義」と「一括編集」
まずは基本中の基本。バラバラの図形を一つの「ブロック」にまとめる方法だ。これをしておくだけで、後で設計変更があった時に泣かずに済む。
設計変更……一番聞きたくない言葉です。
例えば、配置し終わった1000本のボルトに「やっぱり径を一回り大きくして」って指示が来たらどうする? バラバラの図形なら、全部消して1000回配置し直しだ。でも、ブロックなら「30秒」で終わる。
1000個が30秒!? やり方を教えてください!
【STEP 1】ブロックを作成する(BLOCKコマンド)
まずは手元のボルトの絵をブロック化しよう。操作は簡単だ。
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コマンドラインに**「B」**と入力してEnterキー。(またはリボン「挿入」タブ→「ブロック作成」)
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「ブロック定義」ダイアログが出てくる。
ここで大事なポイントが3つある。
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①名前: 後で検索しやすい名前をつけること。「TCB_M22」みたいに具体的にな。「図形1」とか付けたら承知しないよ。
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②基点(重要!): ここが最大の落とし穴だ。「挿入基点を指定」ボタンを押して、必ず**「図形の中心」や「角」など、配置時に基準となる点**をクリックすること。
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③オブジェクト: ブロックにしたい図形をすべて選択する。
「基点」ってそんなに大事ですか? デフォルトの「0,0,0」じゃダメなんですか?
ダメだ。ハンマーを想像してごらん。柄の部分を持つから釘が打てるんだろ? もし基点を設定し忘れると、トンカチの遥か彼方の空気を掴んで振り回すようなことになる。配置する時にマウスカーソルと図形がズレて使い物にならなくなるぞ。
なるほど……! 「持ち手」を決める作業なんですね。
【STEP 2】ブロックを修正する(ブロックエディタ)
無事にブロック化して配置したとしよう。ここで「変更」が入ったとする。
恐怖の時間ですね。
いや、ブロックならボーナスタイムだ。配置してあるブロックをどれでもいいからダブルクリックしてみて。
あ、画面が灰色になりました! これが……?
**「ブロックエディタ」**だ。ここは「部品の金型」をいじる場所だと思っていい。ここでボルトの径を大きく書き換えて、「エディタを閉じる」→「変更を保存」を押すと……?
(カチッ)……ええっ!? 図面にある1000本のボルトが、一瞬で全部大きくなりました!
これが「インスタンス(分身)」の考え方だ。図面に配置されているのはあくまで分身。大元(定義)を直せば、全ての分身に反映される。
すごい……。これなら修正も怖くないですね!
3. 「使い回し」こそ正義!WBLOCKとツールパレットで資産を作る
次は「ライブラリ化」の話だ。デジ美さん、前の業務で描いた「排水桝」の図面、どこにあるか覚えてる?
えーっと……サーバーの「2023年度」フォルダの中の、どこかの現場の……探すのに10分くらいかかります。
毎回それをやってるの? 人生短くなっちゃうよ。一度描いた汎用的な部品は、その図面の中に閉じ込めておかないで、外部に書き出して「自分だけのデータベース」を作るんだ。
【STEP 3】ブロックを書き出す(WBLOCKコマンド)
さっき作ったブロックを、独立したDWGファイルとして保存するコマンドがある。
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コマンドラインに**「W」**と入力してEnterキー。(WBLOCK)
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「ブロック書き出し」ダイアログが出る。
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「転送元」で「ブロック」を選び、リストから書き出したいブロック名(例:TCB_M22)を選ぶ。
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「ファイル名とパス」で、社内共通の**「部品ライブラリフォルダ」**を指定して保存。
これで、ただの図面データじゃなくて、部品としてパソコンに保存されたわけですね!
そう。標準図の「支承」「伸縮装置」「高欄」なんかは、メーカー別、発注者別で全部こうやってフォルダ分けして保存しておくんだ。
【STEP 4】ツールパレットで「スタンプ感覚」配置
さらに、これを最強に使いやすくする機能が**「ツールパレット」だ。キーボードの「Ctrl + 3」**を押してみて。
細長いウィンドウが出てきました。
ここに、さっき保存した図面ファイルを、エクスプローラーからドラッグ&ドロップで放り込んでごらん。
あ! アイコンとして登録されました!
これでもう、ファイルを探す必要はない。次からはこのパレットからアイコンをクリックして、図面にポンと置くだけだ。スタンプを押すみたいにな。
うわぁ……これ、私の「お気に入りセット」が作れるじゃないですか!
そう。出来る人はこうやって「描く時間」じゃなくて「探す時間」を削ってるんだよ。
4. データ管理と「ダイナミックブロック」でさらにスマートに
社長、だいぶ楽になってきましたけど、一つ悩みがあるんです。
なんだい?
同じ「添接板」でも、長さが「500mm」「600mm」「700mm」って微妙に違うものがたくさんあって……。これ全部、別のブロックとして登録しないとダメですか? 「SPL_L500」「SPL_L600」みたいに。
それをやると、ツールパレットが板だらけになって逆に管理しづらくなるね。
ですよね。結局、ブロックを分解して長さを直して使ってます。
待ちなさい。「分解(EXPLODE)」は最終手段だ。一度ブロックを分解したら、もう一括変更の恩恵は受けられない。そういう時は**「ダイナミックブロック」**を使うんだ。
ダイナミック……? 強そうですね。
「可変ブロック」のことだよ。一つのブロックなのに、つまみをドラッグするだけでビヨーンと伸び縮みさせることができる。
【STEP 5】伸び縮みするブロックを作る(ストレッチアクション)
これができるようになると、CADオペレーターとして一目置かれるぞ。手順は少し多いけど、効果は絶大だ。
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ブロックエディタを開く。
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「ブロックオーサリングパレット」(出てなければ「パラメータ」タブ)から**「直線状」**を選ぶ。
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板の長さを示すように、始点と終点をクリック。「距離1」という寸法みたいなものがつく。
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次に「アクション」タブから**「ストレッチ」**を選ぶ。
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対象となるパラメータ(さっきの距離1)をクリック。
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「ストレッチさせる点」をクリック(通常は伸びる側の端点)。
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「ストレッチ枠」を点線で囲む(伸びてほしい部分を囲む)。
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最後に、実際に動く図形を選択してEnter。
なんだか難しそうです……。
支承にも固定側と可動側があるだろ? 「どこを掴んで(パラメータ)」「どの部分をスライドさせるか(アクション)」を指定してるだけだよ。
これを保存してエディタを閉じると、配置したブロックに「▼」みたいなグリップが出る。これを引っ張ると……?
(グググッ)……すごい! 形を保ったまま、板が伸び縮みします! 寸法入力もできるから、正確な長さにできますね!
これなら、一つのブロックで500mmにも1000mmにも対応できる。ブロックの種類を増やさずに、あらゆるパターンに対応できるのが「データ管理」のコツだ。
私、今まで毎回書き直してました……。もっと早く知りたかったです!
5. まとめ
さて、今日の講義はここまで。最後にまとめるよ。
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1. 繰り返し使う図形は、必ず「基点」を決めてブロック化する。
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これで修正時は「一つ直せば全部直る」状態になる。
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2. 作ったブロックは「WBLOCK」で書き出し、「ツールパレット」に登録する。
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過去の図面を探す時間をゼロにする。これが「ライブラリ化」だ。
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3. サイズ違いは「ダイナミックブロック」で統合管理する。
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分解して編集するのではなく、パラメータを持たせて柔軟に対応させる。
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社長、ありがとうございます! ブロック機能って、単に「まとめる」だけじゃなくて、効率化のための「仕組み」そのものなんですね。
その通り。CADはいかに「楽をするか」を追求するツールだ。汗水垂らしてマウスをカチカチするのは美徳じゃない。スマートに終わらせて、美味しいコーヒーでも飲もうじゃないか。
はい! 早速「デジ美専用ツールパレット」を作って、定時退社を目指します!
……そのパレットの中身、僕の作ったライブラリを勝手に入れてない?
えへへ、効率化のためですから!(コピー完了)
まったく、ちゃっかりしてるなぁ(笑)。
