ベテランは皆やっている。AutoCADの作業効率を3倍にする「自分専用ワークスペース」の作り方
2025年12月20日
(画面を凝視しながら)ええーっと、3D回転、3D回転……。確かこのタブの中にあったはずなんですけど……。あ、間違えた、これは普通の回転だ。
デジ美さん、さっきからマウスが迷子になっているよ。リボンタブを何度も往復して、探しものかな?
あっ、社長!すみません、お恥ずかしいところで……。3Dの操作をしようと思ったのですが、普段使わないボタンなのでどこにあるか分からなくなってしまって。
それだよ、デジ美さん。その「コマンドを探している数秒間」こそが、設計者の集中力を削ぎ、作業を遅らせる最大の敵なんだ。
数秒くらい、大したことないと思っていました……。
チリも積もればだよ。1回の検索に3秒かかり、それを1日100回繰り返せば、年間でどれだけの時間をドブに捨てていることになると思う? ベテランが速いのは、決してマウスを動かす速度が速いからじゃない。「探す手間」をゼロにするために、画面を自分専用に作り変えているからなんだ。
自分専用……。そんなことができるんですか?
もちろん。今日はAutoCADの作業効率を劇的に引き上げる「自分専用ワークスペース」の構築術を伝授しよう。これをマスターすれば、今の3倍は楽に、そして速く仕事ができるようになるよ。
1. 視界をクリアに!「使わないボタン」を徹底的に排除する
まず、デジ美さんの今の画面を見てごらん。リボンにたくさんのボタンが並んでいるけれど、今日一日で一度も触っていないボタンはどれくらいある?
そう言われると……。この「パラメトリック」とか「アドイン」のタブは、一度もクリックしたことがないかもしれません。
だろう? 多くの人は、AutoCADをインストールした時の「標準設定」のまま使おうとする。でも、標準設定っていうのは、あらゆる業種の人が困らないように「全部入り」になっているんだ。
万能な反面、自分には不要なものも混ざっているんですね。
その通り。例えば、「主桁」の断面図を2Dで描いている時に、3Dレンダリング用のライトの設定ボタンが視界に入る必要はないよね? 視覚的なノイズが多いと、脳は無意識にそれを処理しようとして疲弊するんだ。
確かに、ボタンが多いと探すだけで疲れてしまいます。
まずはリボンのタブを右クリックして、「タブを表示」から不要な項目のチェックを外していこう。僕の場合、2D作図の時は本当に使う4〜5個のタブしか出さない。これだけで、目的のコマンドに辿り着くまでのスピードが格段に上がるよ。
画面がすごくスッキリしました! 必要なものだけが並んでいると、なんだか仕事ができる人になった気分です。
2. クイックアクセスツールバーを「自分だけの聖域」に育てる
でも社長、タブを消しすぎると、たまに使うコマンドが必要になった時に困りませんか?
その通りだね。そこで活用するのが、画面の一番上にある「クイックアクセスツールバー」だ。ここは、どのリボンタブを開いていても常に表示され続ける、いわば「一等地の特設ステージ」だよ。
今は「保存」とか「印刷」のアイコンが並んでいるところですね。
そう。ここをデフォルトのままにしておくのは、宝の持ち腐れだ。デジ美さんが頻繁に使うコマンド……例えば、画層の切り替えや、長さ寸法記入、オブジェクト選択のフィルターなどは、すべてここに右クリックで追加してしまうんだ。
あっ、簡単にアイコンが増えました! これなら、どのタブにいてもワンクリックで呼び出せますね。
効率化のコツは、「マウスの移動距離を1ミリでも短くすること」。リボンを切り替えるという2クリックの動作を、1クリックに短縮する。この積み重ねが、作業のリズムを生むんだ。
複雑な配筋図を描く時に「トリム」や「延長」を何度も使うので、ここに置いておくとすごく便利そうです!
そうだろう? 自分の指が「ここにある」と覚えるまで、よく使うツールを厳選して配置するんだ。ここを自分流にカスタマイズすることが、プロへの第一歩だよ。
3. 「2D」と「3D」をスイッチひとつで切り替える
社長、でも一つ悩みがあるんです。2Dの図面を描く時は今の設定で最高なんですけど、たまに橋脚の3Dモデルを作成する時は、さっき消した3D用のタブが必要になりますよね……。
ふふふ、そこで「ワークスペースの保存」機能の出番だよ。AutoCADの左上にある、あの小さな「歯車アイコン」を見たことはあるかい?
はい、設定を変える時に使うところですよね?
そう。あそこで「現在のアセットに名前を付けて保存」を選べば、今のリボン配置やパレットの位置を、一つの「型」として保存できるんだ。
つまり、2D用と3D用で、別々の画面構成を保存しておけるということですか?
その通り! 例えば「DesignS_2D作図用」と「DesignS_3D作図用」という2つのワークスペースを作っておけば、歯車アイコンをクリックするだけで、一瞬にして画面がその作業に最適な状態に切り替わるんだよ。
すごい! 魔法みたいですね。3Dに切り替えた瞬間、消していたモデリング用のタブがパッと現れて、プロパティパレットも使いやすい位置に移動しました!
2D作図と3Dモデリングでは、使う道具も、見たい情報も全く違う。それを一つの画面でやりくりしようとするから無理が出るんだ。「状況に合わせて最適なコクピットに乗り換える」。これがベテランが平然とやってのける効率化の極意だよ。
まとめ:自分に最適化された環境が、プロの誇りを作る
社長、ありがとうございます! なんだか、AutoCADを動かすのが今まで以上に楽しくなってきました。
それは良かった。カスタマイズっていうのは、単に速くなるだけじゃない。「自分がどう働きたいか」を形にすることなんだ。面倒なことを嫌い、いかに楽をするかを突き詰める。それが結果的に、正確で速い仕事に繋がるんだよ。
「楽をするための努力」ですね。私もまずは、自分にとって一番使いやすい配置をじっくり考えてみます。
おっと、一つ言い忘れたけれど、ワークスペースを自分好みに作り変えたら、必ずバックアップ(CUIファイルの書き出し)を取っておくこと。パソコンを買い替えた時、また一から作り直すのは……それこそ最高に「めんどくさい」からね(笑)。
はい! 最後まで社長らしいアドバイス、ありがとうございます!
